a.資産の構造と企業価値・Value Chain
企業価値は有形・無形資産で構成され、Value Chainを通じて価値が生み出されます。経営の「全体地図」を持つことが優先課題の特定と打ち手の立案を可能にします。
1). 企業価値の構成要素と「経営の全体地図」
【Policy】考え方・ポリシー
図:有形資産・無形資産・Value Chain の全体構造(ダミー)
企業価値は財務諸表に現れる有形資産(設備・在庫・現金)だけでなく、ブランド・特許・人材・顧客関係などの無形資産によっても大きく左右されます。現代の知識集約型企業では無形資産が企業価値の過半を占めるケースが増えています。
- 有形資産:土地・建物・設備・棚卸資産・金融資産(B/Sに計上)
- 無形資産:ブランド・特許・顧客基盤・組織文化・人的資本(多くはB/S外)
- Value Chain:購買→製造→販売→サービスの主活動と、HR・IT・調達などの支援活動
- 「どの活動がどれだけの価値を生んでいるか」を可視化することが経営課題の特定につながる
- B/Sに現れない無形資産の毀損リスクを経営者は常に意識する必要がある
※ 自社のValue Chainを初めて描く際は、売上・利益の大半を生み出している2〜3の主活動に絞って深掘りすることを推奨します。全活動を均等に分析しようとすると焦点が散漫になります。
2). Value Chain分析の手順とポイント
【Method】手法・理論
図:Porter's Value Chain テンプレート(ダミー)
Value Chain分析は「どの活動が競合より優れているか(強みの源泉)」「どの活動でコストや価値の漏れが生じているか(改善余地)」を体系的に明らかにする手法です。
分析の4ステップ:
- 活動の列挙 ― 主活動(5種)と支援活動(4種)に社内の業務プロセスをマッピング
- コスト配分 ― 各活動のコスト(人件費・設備費・間接費)を概算で配分
- 差別化ポイントの特定 ― 顧客が価値を感じる活動・競合との差が大きい活動を識別
- 連携の最適化 ― 活動間の「リンケージ」(例:設計と製造の連携)でコスト削減・品質向上
- 自社のValue Chainと競合のそれを並べて比較することで、競争劣位の構造的原因が浮かぶ
- デジタル化によりValue Chain上のどの活動が代替・強化されるかを定期的に見直す
- グローバル展開企業はValue Chainの「地理的分散」(立地戦略)も重要な変数
※ Value Chain分析は一度作成すれば終わりではありません。事業環境や競合の動向に応じて年1回程度見直しを行い、戦略の前提として常に最新化することが重要です。

